2016年04月24日

【店長ササキの気まぐれノート】第1回「ジャパンカップ2016コースについて」

はじめましての人も、そうでない人もこんにちは!
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店の店長、ササキです。

突然始まったこの店長ササキのブログ記事ですが、今後ササキをはじめ店舗スタッフによるそれぞれのブログ記事がいくつか始まります。
初心者目線でのミニ四駆記事であったり、スケールモデルをかっこよく作るためのワンポイントを紹介する記事であったりと、様々な内容が展開していくと思いますのでよろしくお願いいたします。

その中でササキは「ミニ四駆における様々な要素の中から1つ」をお題にちょっとだけ踏み込んだ内容を中心に、タミヤで扱っている色々な商品に関する記事を書きたいと思っています。
今回だけに限らず、記事の内容は「ササキの主観であること」を理解したうえで楽しんで頂けると幸いです

では早速本文に参りたいと思います。

4/21(木)にジャパンカップ2016が開催することが発表され、コースレイアウトも同時に発表となりました。
ソーシャルメディア等で既に目にした方も多いと思います。
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※クリックすると大きい画像が表示されます。

その名も「ウルトラバーニングサーキット2016」…
第1回のお題はこのジャパンカップ2016を象徴するコースについてササキが思うところを書いていこうと思いますので、興味のある方はお付き合いをお願いいたします。

1.コース全体の印象

メディア発表会場でレイアウトがディスプレイに出た瞬間「うわぁ…」という声が多数漏れた今回のコースレイアウトですが、やはり目を引くのがそびえたつ壁のようなセクションですね。
「ウルトラバーニングサーキット2016」は6つのセクションから構成されており、スタートラインから ①グライドバンク45 ②ダブルドラゴン ③ニューエラターン ④ジ・アルプス ⑤バーティカルチェンジャー ⑥富士通SSSと抜けてスタートラインに戻ってきます。
コース前半部分は立体、後半部分はフラットとレースの流れにメリハリが出るサーキット構成になっています。

ここで去年のジャパンカップ2015のサーキット、「ハイパーダッシュサーキット2015」を振り返ってみましょう。
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※クリックすると大きい画像が表示されます。

「ウルトラバーニングサーキット2016」が去年よりも「コースの高低差が増している」という点に気づいた方は多いと思います。
さらに「ストレートセクションが少ない」ということに気づいた方、鋭いと思いますよ!

ササキの感想としては、「ウルトラバーニングサーキット2016」はリタイアポイントが3箇所もあると思いました。
具体的には②ダブルドラゴン ④ジ・アルプス ⑤バーティカルチェンジャーの3箇所です。
そしてレースにおける「どこで差をつけるか」は ⑥富士通SSSだと感じました。
このリタイアポイントと勝負の決め所の2点についてさらに詳しく書いていこうと思いますので、興味のある方はお付き合いください。

2.ダブルドラゴンについて

最初に待ち構える難関セクション・ダブルドラゴンですが、リタイアポイント3箇所の中では一番難易度が低いです。
まずは小手調べという感じですね。
最初のドラゴンバックはジャパンカップ2015から引き続き登場の①グラインドバンクからの進入になるので、飛びすぎて2個目のドラゴンバックに当たる、ということはまず無いと思います。
問題なのは2個目のドラゴンバックです。

1個目のドラゴンバックから2個目まではストレートが組み込まれていて、多少ですが加速が出来ます。
そして2個目のドラゴンバックの着地が伸びて③ニューエラターンまでに着地が出来ないもしくは安定しない、というのがリタイアの形になると思います。
対処としてはブレーキセッティングで飛距離を落とす、あるいは着地を安定させるギミックを搭載するということになります。
ドラゴンバックの対処法は皆さんなれていると思いますので、「2個目の着地でリタイアする可能性がある」ということを認識していれば大丈夫です。

3.ジ・アルプスについて

このセクションはかなり厄介です。
まず前提として「まっすぐ飛べないマシン」はクリアできません
そして「まっすぐ飛べばいい」とだけ思っている場合もクリアできません

前提はいいとしてどういうことかというと、このセクションはレーサーに走る前に2択を迫っています
①頂上のストレートで着地する ②ジ・アルプスを飛び越える かの2択ですね。

飛び越えるのかよ!と思う方もいるとは思いますが、今回のジ・アルプスはナイアガラスロープが高さ90cmだったのに対し、47cmと比較的低めに作られています
高さはナイアガラスロープの半分なので飛び出すまでの走行距離も半分、そしてナイアガラスロープよりも角度が緩いということはほぼ減速しないということです。
見た感じアイガースロープ Evo.の角度は25度くらいでしょうか?
そして、ジ・アルプスの前にストレートが1枚半あることを考えると飛び越すのは十分に可能だと思います。

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ピンボケしててすみません… 下りがこんもり盛り上がってます

個々のケースを追っていきましょう。
①頂上のストレートで着地する を選んだ場合、その後バーティカルチェンジャーに突入する際に十分な加速を得られない可能性があります。
下りで再度ジャンプを行うため、飛び越える場合よりもスピードのロスが著しくなります。
②ジ・アルプスを飛び越える場合、中途半端な位置に着地すると下り側アイガーステップの最初の段差に弾かれリタイアになります。
アイガーステップはステップ1段目が盛り上がった形状になっているため、ここに着地してしまった場合は前方に弾かれひっくり返りほぼリタイアとなるでしょう。

どちらもリスクがありますが、どっちを選ぶのかはマシンのセッティングと走行イメージを考えた上で完走できる・勝てると思った方、つまりレーサー次第です。
どちらかが良い悪い、ということはありません。
ミニ四駆レーサーは全てを自分で決断しなくてはいけないのです。

4.バーティカルレーンチェンジャーについて

一番目を引くこのセクションですが、そもそもこのセクションの仕組みはどうなっているのでしょうか?

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想像以上にでかいみたいです… 過去のレーンチェンジャーが並べて表示されています

さて、大きいことばかりに目がいきがちですがよく注意して見ると次のことが分かります。
①最終的な角度は約80度に達するということ、②レーンチェンジするまでのコースは正円弧に近いということの2つです。

①について、角度が約80度ということはマシンは壁を登っているというのとほぼ一緒です。
その為、グリップが無いタイヤ、トルクの無いセッティング、重いマシンはここで軒並みデメリットを背負います
また、昨今流行りのボディ提灯などのパカパカ開くギミックを搭載している場合は重力に負けて開いてしまう可能性があることも考慮した方が良いでしょう。
これらのデメリットを認識した上で他のセクションを考慮したとき、どのデメリットを受け入れ、どのデメリットを拒否するのかが勝負の分かれ目となります。

②についてどういうことなのかというと、ブレーキ高がある一定の高さ以上だとブレーキが路面に一切干渉しないということなんです。
正円弧のコースというとループチェンジャーが思い浮かぶと思いますが、それと一緒です。
過去のレーンチェンジャーやアイガーステップなどは正円弧ではなく楕円や直線などの形状の為、ブレーキが干渉する時間が多く減速しました。
そしてそれを利用してマシンを減速、安定させセクションをクリアするという流れですね。

では今回はどうなのかというと、バーティカルレーンチェンジャーはほぼ正円弧であり、なおかつループチェンジャーよりもR(アール)がきつくない、緩いRの為、ブレーキ高によってはRを走っている間にブレーキが路面に擦り続けるということがないということです。
要はブレーキ高をしっかり設定出来ていれば、バーティカルレーンチェンジャーの上りで減速をあまりせず、スピードに乗ったまま突入できるということですね。
ミニ四駆における円弧を走る場合の最低ブレーキ高は、回転半径と反比例しRが緩いほど下げることが出来ます
ループチェンジャーがなぜあれほどレーサーを苦しめたのかというと、Rがきつくブレーキ高をかなり上げないと路面にブレーキが擦れ続け、結果減速してループを出来ずに落ちてしまう、というのが要因でした。
一応車軸からブレーキ設定位置までの距離、タイヤ径、回転半径、ホイールベースが分かれば計算で求めることも出来ますので、気合がある方は計算してみてはどうでしょうか…?

また、ブレーキは車軸から離れれば離れるほどかかるタイミングが早くなっていきます。
現在のミニ四駆では、一般的にブレーキタイミングは早ければ早いほど減速や制動効果に有利あるいは便利です。
その為ブレーキ取り付け位置を後ろギリギリいっぱいに伸ばしているマシンが多くなっていますし、極端に後ろに伸ばしているマシンも見受けられます。
今回のバーティカルレーンチェンジャーはそれに対する挑戦だとササキは思いますよ。

またミニ四駆をある程度理解している方は、注意点として両軸モーターと片軸モーターで前後のタイヤにかかるトルク比が異なる、という点も考慮しておくとよいと思います。
簡単に表記すると両軸モーターでは前輪:後輪が5:5ですが、片軸モーターではモーターから近いタイヤ:遠いタイヤは6:4あるいは7:3ぐらいまでトルクに差があります。
なので、モーターから近いタイヤにスーパーハードタイヤなど摩擦係数の少ないタイヤを履かせるとそれだけで登れなくなる可能性がある、ということを考慮しておくといいかもしれません。
もちろんそれらのタイヤを履かせたからといって必ずしも登れないわけではなく、その他のセッティングでカバーできると思いますし、後述する後半のフラットセクションで他のマシンに差をつけるためにあえて履くというのも十分ありだと思います。

なんだよどっちなんだよ、と思う方もいるかもしれませんがササキのブログ記事では「これはこういう効果だよ」、「ここはこうなっているよ」と解説するだけに留め、「これがお勧め!」、「これが正解!」といった書き方は一切しません
ミニ四駆には見た目は同じでも1つとして同じマシンはありませんし、同じように組んでも同じ速さになりません。
なので正解のセッティングはありませんし、自分のマシンに合うセッティングを自分自身で考えて組むのが一番大事なことです。
前の項でも書きましたが、数ある情報からどの情報を自分のマシンに反映させるかは走らせるレーサー自身の決断です

5.どこで差をつけるのか

さて、3つの難関セクションを書いてきましたが、今までの3項目は「自分との勝負」の部分です。
レースは他人との勝負です。
じゃあ他のマシンとどこで差をつけるのでしょうか?

それは後半のフラット部分だとササキは考えています。
ジ・アルプスを抜けるとバーティカルレーンチェンジャーに突入するマシン以外は全て高低差なしのフラット部分が長く続きます。
その為多くの人は後半のフラット部分で如何に差をつけるか、が勝負の分かれ目になると思います。
状況によっては前半の立体部分で大なり小なり差はつくでしょうし、それを狙っていくこともありだと思います。
ただ、予選を抜けていくにつれて前半部分での差はほとんど無くなっていくように思います。

後半のフラット部分はどうなのかというと、ジ・アルプスから180度ターンをストレート1枚を挟み2回、そしてストレート2枚を抜け富士通SSSという連続S字セクションがスタートまで続きます。
ロングストレートは富士通SSSの先にあるだけ…
最初の方にも書きましたがウルトラバーニングサーキット2016はストレートが少ないんですよね。
コースレイアウトの大半を占めるカーブセクションをどれだけ減速しないで走れるか、が重要なポイントではないでしょうか
ロングストレートで巻き返せばいいじゃないか!と思う方もいると思いますが、ゴールラインまではストレート1枚だけしかありません
最後ゴール前で巻き返せなかった、とならないようそこだけは忘れないように気をつけましょう。

6.コースが求めていること

最後に、今回のウルトラバーニングサーキット2016はミニ四駆レーサーに何を求めているのでしょうか?を書いておしまいにしたいと思います。

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改めてもう1回全体を見てみましょう

どういうことかというと、コースを設計するのもレーサーと同じ人間です。
何かしらの意図があってこのコースレイアウトになったと考えるべきです。
このコースはなぜこのレイアウトになったのか、ということを認識しているかいないかでだいぶ違うのではないか、とササキは常々思っています。
そしてその意図を理解したレーサーが勝ち進んでいっているのだと思っています。
今回で言えばササキはウルトラバーニングサーキット2016では3つのセクションでレーサーに試練を与えたい、と思って設計されているように思いましたし、さらにシビアな要求もレーサーにされていると感じました。

今までの内容をまとめるとダブルドラゴンとジ・アルプスではブレーキが低く、マシン重量が重く、トルクが低く、摩擦係数が少ないタイヤのマシンがジャンプが低く飛び安定します。
バーティカルレーンチェンジャーではブレーキが高く、マシン重量が軽く、トルクが高く、摩擦係数が高いタイヤのマシンが早く登れます。
もうわかりますよね、それぞれのセクションで要求されるマシンスペックが矛盾しているんです。

それぞれのセクションをクリアできるセッティング幅のうち、両方に被っているセッティングを見つけ出してくれ、というのがさらに要求されているシビアな内容です。
これは非常に難しい内容です。
非常に難しいですが、その分取り組みがいがあると思いますし、考え抜いたセッティングで完走できたとき、そして勝ち抜けたときの喜びはひとしおだと思います。

ジャパンカップ2016に出場するレーサーさん、優勝目指して頑張ってくださいね!
今回のササキの記事がレーサーさんの参考になれば幸いです(何度も繰り返しますが鵜呑みにしないで参考程度にして下さいね)

最初から長い記事となってしまいましたが最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。
それではまた次回。