【サフ・マスキング編】初心者だけどプラモデルづくりに挑戦するよ!ーその4

目次
1.サーフェイサーで下地づくり
2.ゼロ戦のグレーは切ない
3.マスキングは命
4.次回予告
こんにちは!
プラモデル初心者がプロモデラーに教わりながら、
はじめてのプラモデル制作に挑戦する企画!
挑戦者の石井七歩が、タミヤプラモデルファクトリートレッサ横浜店からお送りいたします!
今回も引き続きプロモデラーの
長谷川マスターこと、長谷川伸二さんにご指導いただきます!
長谷川伸二マスターは、
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店内にあるアトリエゾーンにて、
さまざまな講座を開催されています。→各種講座
プラモデル制作に行き詰っているそこのアナタは、
タミヤプラモデルファクトリートレッサ横浜店のアトリエゾーンで、
どんどん長谷川マスターに相談しましょう!
さて
今回も引き続き制作するのは…….、
TAMIYA
ゼロ戦1/48 傑作機シリーズ No.27
日本海軍零式艦上戦闘機52丙型 (A6M5c)
前回の記事では、機体の大体の形が組みあがりました。
今回はエアブラシを使用してゼロ戦本来の色を再現していきますよ!
初心者向けに解説していきます。
1.サーフェイサーで下地づくり
さて。
前回までの作業で、飛行機のカタチができあがりました!
プラスチックそのままの深緑色がなかなか綺麗で、
正直もうそのままでも良いんじゃないかと思えるのですが…、
やはり!
このテーブルの上に、
70年前に空を飛んでいたゼロ戦を再現したい!ということで、
当時の色を塗っていくことにしましょう。
[↑前回はこの状態まで完成]
「さて、エアブラシで塗装を始める前に、サフを吹きましょう。」
「サフ…ですか?」
[↑ファインサーフェイサーL(ライトグレイ)]
サーフェイサーというのは文字通り、
サーフェイス(表面)を整えるための塗料です。
プラスチックの表面を整えたり、小さなキズを消したり、
これから上塗りしてゆく塗料の喰いつきを良くする効果があります。
また、グレーのサーフェイサーを吹くことで、
いままで視認できなかったキズが見つけやすくなる効果もあるとか。
気づいた時には既に長谷川マスターがマスキングを済ませ、
素早くサフを吹き付けてドライヤーで乾燥させていました。
とにかく挙動が早い…。
乾燥を促進させるため、ドライヤーは頻繁に使うアイテムだそうです。
そうそう、余談ですが、
私は10年くらい武道をやっていました。
極真空手と、
高校生になってからは松濤館流空手。
高校の空手道部では主将をやっていました。勿論、黒帯です。
大会やインターハイなどで組手試合をするわけですが、
試合中、
頭で考えながら技を出しているうちは時間がかかってしまい、結果、弱いんですよね。
厳密に言うと、
あ、いまボク思考しているな~というのを自覚できているうちは、時間がかかる。
稽古を重ねていると、
そのうちに、何というか自動思考が可能な状態になって、
思考していることを自覚する暇もなく身体が動くようになる。
これは多分、
いちいち認識する必要もなく、
過去の経験データに従って脳が判断してくれるようになる状態。
過去データで構築された戦闘プログラムに従って自動的に身体を動かしつつ、
意識は客観的に現状を鳥瞰しながら、
場に合わせて効果的な決定を行ってゆくという感じ……。
そうすると、強いんじゃないかな。
強い、弱い、は武道的な喩えですけど。
何が言いたいかというと、
長谷川マスターの動きを見ていると、
脳で命令を下すまでもなく、
過去の経験データを元に、自動的に身体が動いているような感じがするんです。
とにかく早くて、正確。
気がつくとあっという間に作業が終わっている。
きっと膨大な量の制作作業に関するデータが長谷川マスターの中にはあって、
この状況ではこれをこうする、という意志決定が、
ものすごい速度で半ば自動的に行われているような…。
やはり何でも、マスターしたければ繰り返し繰り返しってことですね。
[↑サーフェイサーを吹き付けた状態。確かに表面が均一になっている気がする…。]
[↑コックピットの部分はマスキングテープで隠してます。前回せっかく塗ったもんね。]
[↑こういう部品は竹串の先にマスキングテープを逆向きに巻いて、くっつけて塗装!]
こうして、
サフを吹くことであえて機体全体を「薄いグレー」に塗りなおします。
元々のプラスチックの地色に直接塗料をスプレーしても発色が悪いので、
薄い色の上に濃い色を重ねた方がキレイですからね。
ちなみにゼロ戦のような濃いグリーンの場合は
今回のように薄いグレーのサフを吹きますが、
たとえばF1フェラーリのような、光沢のある真っ赤なボディに塗装する場合は、
薄いピンク色のサフをスプレーすると綺麗に仕上がるみたいです。
[↑艶々な真っ赤のフェラーリ!]
[↑記念写真!]
2.ゼロ戦のグレーは切ない
さて。
さっそくゼロ戦ボディの塗装に入りますよ!
ゼロ戦のおなかの部分は、
明灰白色という塗料で塗っていきます。
明るくて、すこしグリーンがかった灰色です。
私はなんとなくこの色を、
古い電車の内装のグレーのプラスチック部分のような色に感じるのですが…。
写真右、
明灰白色ですね。
調べてみると、
ゼロ戦には様々な色があるのですが、
ボディ全体が明るいグレーだった時代から、
上部をグリーンに塗る時代へと変わっているようなのです。
厳密な出典が見つけられなかったのですが…。
ゼロファイターが驚異的な能力を発揮し、制空権を我が物にしていた頃、
機体は空に溶け込む明るいグレーでした。
……が、しかし
太平洋戦争中期以降、一部のゼロ戦が米軍に鹵獲されたことによって、
アメリカ陸海軍に「ゼロ戦の弱点を徹底的に突く戦い方」が浸透。
その戦い方のひとつが、
ゼロ戦の機体の脆弱性に着目した、機体上空からの攻撃だったらしい。
そうして上空から襲われることが多くなったため、
ゼロ戦の上部は、
海に溶け込むグリーンの塗装に変わった…。
あるいは、南方での作戦が多くなり、
ジャングルに対して迷彩をするためグリーンに塗られた…。
とにかく、
最強だったゼロファイターの伝説が終わり、
迷彩を施して視認性を下げる必要がでてきたということですね。
………そう思うと何だか、切なくない?
さて。
前回の記事の経験を活かし、
ちょみっとずつ塗り重ねていった状態がこちら!
すこし緑がかったグレーが古めかしい感じがしますね。
3.マスキングが命!
「さて、これから機体上部を緑色に塗装しますが、その前にマスキングを行います。」
「せっかく塗った明灰白色に緑が重なってしまわないように。マスキングは命です!」
[↑指先が器用すぎてびっくりする]
[↑複数のマスキングテープを使い分ける。]
[↑明灰白色と暗緑色の境目!]
タミヤから曲線用マスキングテープというものが販売されているので、
納得いくまで貼りなおして、色の境目の曲線をつくります!
「でもね、万が一、塗料がはみ出してしまっても、失敗だと思う必要はないよ。」
「またやり直せば良いだけのことなんだからね。」
「わかりました!!」
[↑裏面はこんな感じ。]
[↑コックピット部分]
今回、私ね、
長谷川マスターが何度も
「失敗した、と思わない方がいい。」
と仰っていたのが、とても印象的でした。
たとえば
「塗装が変なとこについちゃっても、
ただやり直せばいいだけの話なんだから。」
これって、
いちいち失敗したと思って、
自己評価を下げるような感傷に浸る必要はない、という意味に私は捉えました。
あ~失敗した。
ボクはなんてダメな奴なんだろう。
へたくそだなあ。
そんな風にいちいち考えていたら、
やる気もなくなるわ、手元も狂うわ、時間もロスするわ、
何のメリットも無いですもんね。
長谷川マスターのアドバイスは
ひそかに
私の手帖にメモしておきました。
[↑マスキング完璧!]
4. 次回予告
次回ゼロ戦、
正式名称 『日本海軍零式艦上戦闘機52丙型』、
ボディ上部の暗緑色の塗装、そして細部のパーツを仕上げていきます!
今回は特別に換気をアトリエゾーンに換気マシンを設置していただきましたが…↓
普段はこんな風に↓
換気のついた塗装専用のブースが完備されていますので、
[↑換気完備の専用ブース!]
皆様もぜひ、思う存分プラモデル制作に没頭されてはいかがでしょう!
それではまた次回まで、乞うご期待です!
第1回の記事はこちら。
第2回の記事はこちら。
第3回の記事はこちら。
ライター : 石井七歩
1991年 東京生まれ。現代美術家。
オフィシャルウェブサイト→ nahoishii.com
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石井七歩
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