【キャタピラー編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(2)
目次
1.戦車模型の醍醐味はウェザリング!
2.まずはどんどん組み立てよう!
3.大量の車輪
4.そもそもどうして戦車の足はキャタピラーなの?
こんにちは!
プラモデル初心者がプロモデラーに教わりながら、
本格的なプラモデル製作に挑戦する企画!
挑戦者の石井七歩が、
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店からお送りいたします!
◆今までの企画◆
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今回もプロモデラーの
長谷川マスターこと、長谷川伸二さんにご指導いただきます!
長谷川伸二マスターは、
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店内にあるアトリエゾーンにて、
さまざまな講座を開催されています。→各種講座
プラモデル製作に行き詰っているそこのアナタは、
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店のアトリエゾーンで、
どんどん長谷川マスターに相談しましょう!
さて
今回製作するのは…….、
1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.250
アメリカ M4A3 シャーマン 75mm砲搭載・後期型(前線突破)
Item No:35250 3,564円(本体価格3,300円)
シャーマン戦車です!
前回の記事、
【基礎知識編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!では、
そもそも戦車とはいつ誕生したのか?
シャーマン戦車が優れていた理由は?
などに触れましたので、今回は製作に入っていきます。
1.戦車模型の醍醐味はウェザリング!
「ウェザリング」という言葉、ご存知ですか?
私にとっては全く聞いたこともない言葉だったので、
まずはWikipediaで調べてみました。
ウェザリング(英語:weathering)は、模型における塗装技法のひとつ。
もともとのweatheringという語の意味は「風化」。
模型を製作する際、普通に仕上げの塗装のままでは、「塗りたて」の状態できれいすぎて実感的でない事がある。そこで、風雨にさらされた実物の外観を模した「汚れ」「風化」などの表現を加える技法があり、これをウェザリングと呼ぶ。
特に戦車や軍用機などのミリタリーモデルや鉄道模型で多用されるほか、SF・アニメなど架空のメカ物にリアリティを与える技法としても用いられている。
(wikippedia項目:ウェザリングより)
なるほど、
もともとのweatheringは「風化」という意味。
新品の戦車ってなんだかあまり味が無いからかな?
「風化したような塗装をする」ことをウェザリングというのですね。
ところでシャーマン戦車の製作にはいる際、
長谷川マスターがおすすめしてくださった雑誌があります。
月刊アーマーモデリング!!
ミリタリーモデラーの専門誌です。
こちらは2015年8月号!
内容はというと、
塗装のコツや提案、人物フィギュアの塗り方、ウェザリング方法、
さらには戦車模型に小物をちょい足しする提案など、
みんなと同じキットにいかにオリジナリティを与えるか、という記事が多く、
プラモデル製作を極めていった先にはこのようなビジョンがあるのだな〜と
感心した次第です…。
風雨の及ぼす影響(日光による退色とホコリ、雨だれの痕や錆、木々や乗員の接触による傷や剥がれ、排気のススや灼け、戦闘による損傷、他)や経年劣化を再現する事で、模型に実物の様なリアリティを与えるのが目的である。
ウェザリングによって、その機体がどんな場所でどの様な戦歴を経てきたのかをある程度表現する事も可能となる。
よってウェザリングを行うに当たっては、実物がどのような環境で使用されていたかを研究観察する事が重要である。
(wikippedia項目:ウェザリングより)
長谷川マスターは、
工事現場でブルドーザーのキャタピラーを観察しながら、
土のつき方、跳ね方などを研究していらっしゃるそうですよ。
工事現場で重機を観察している人がいたら、
それはプラモデラーかもしれません…。
私も今度みてみよっと。
ということで。
戦車模型はウェザリングで個性を出していきます!
2.まずはどんどん組み立てよう!
ゼロ戦製作の際はコックピットの塗装を先に行い、
それから組み立て、塗装、と、
塗装と組み立てを並行しておこないましたが、
長谷川マスター曰く、
戦車は「どんどん組み立てちゃいましょう!」とのこと。
箱を開けると、こんな感じ。
いっぱいありますねー!!
もともと胴体や砲台などは大きなパーツとして入っているんですね。
その他のパーツは細かくてめちゃめちゃ多いように見えますが、
シャーマンはパーツが少ないほうだとのこと。
よくよくみると、
兵士のパーツがあります!
ただ肌色に塗ると「立体塗り絵」になってしまうので、
陰影をつけながら塗っていくそうですよ。
今から楽しみですね…!
きちんと説明書のとおりに進めてゆきます。
順序が大切!
3.大量の車輪
さて、
説明書通りに製作をすすめてゆくと、
同じような車輪のパーツを大量につくることになります。
サイズ的にはラムネ菓子のようなこの車輪…。
かわいい…。
こんなにたくさんありますよ!
そうです。
この車輪は、戦車の履帯のための車輪です!
履帯と書いて「りたい」と読みます。
あまり一般的な用語ではありませんよね。
他の言い方だと、
無限軌道、キャタピラー、カタビラ、クローラー、トラック…
…などの言い方があるようです。
「キャタピラー」というのが最も知られた言い方なのではないでしょうか。
さて、
本体となるパーツにくっつけました!
さすがは戦車のあしまわり、カッコイイですね。
ごちゃごちゃしていてマシン感がたまらないです。
でもサイズはちいさい!
組立は説明書がわかりやすいので簡単でしたが、
量がたくさんあるので結構てこずってしまいました…。
でも全部しっかり作れましたよ!
ウェザリングで使用感を演出するのがたのしみだー!!!
ということで、
今回はこの「履帯」。
キャタピラーについてお勉強して終わりにしたいと思います!
4.そもそもどうして戦車の足はキャタピラーなのか?
どうして戦車の足はキャタピラーなのか?
他に足元がキャタピラーになっているものといえば、
思いつくのはブルドーザーなど…。
(Wikipedia項目:ブルドーザーより引用)
共通しているのは、
舗装されていない道を走るということかな…?
調べてみました。
キャタピラーのメリット
まず、
戦車というのは前提として、舗装されていないガタガタの道なき道を走行します。
地雷や砲弾が降り注いだ穴ぼこだらけの大地、
掘られた塹壕、蛸壷(個人用の塹壕)、
有刺鉄線などのバリケード…。
(Wikipedia項目:塹壕より引用)
そんな散々な道を走るためには、
キャタピラーが適しているのです。
それはなぜか?
「タイヤ車体」と「キャタピラー車体」の比較で見ていきましょう。
◆接地面積について◆
(Wikipedia項目:偵察戦闘車より引用 陸上自衛隊の87式偵察警戒車)
たとえばこちらの偵察車は、6つの車輪がついています。
当然、車体全体の重量はこの6つの車輪の接地面にかかります。
こんな感じ!
接地面積が少なければ当然そこにかかる重量も大きいので、
荒地やぬかるみにハマってしまう可能性が高くなりますよね。
対して、
戦車の接地面積はこんな感じです。
接地面積が広くなることで接地圧が下がる。つまり重量が拡散されます。
戦車の重い重い車体。
シャーマン戦車は約30トン。
現在の日本の陸上自衛隊の10式戦車は約44トンもあるそうです!
接地面積が広くなることで、
湿地や砂地、でこぼこの地面でも走行できる。
それに、人が手をつかなければ登れないような坂道でも、
接地面積の広いキャタピラーで引っ掛けて登れるそうです…。すごい。
◆砲撃後の衝撃について◆
(Wikipedia項目:M4中戦車より引用)
戦車には戦車砲が搭載されています。
もちろんこの戦車砲、砲撃の後にはものすごい衝撃波が車体を襲うそうです。
たとえば。
シャーマン戦車の主砲は
37.5口径75mm戦車砲M3(90発)
52口径76.2mm戦車砲M1(71発)
現在使われているアメリカの主力戦車、M1 エイブラムスの主砲は
51口径105mm ライフル砲
44口径120mm滑腔砲M256
○○mmというのは銃弾の直径のことです。
そうとう大きい!!
こんなに大きい砲弾を発射すれば、その衝撃波の大きさも半端ないでしょう。
この衝撃を受けた時、
車高を低くできるキャタピラ車体のほうが、
車高の高い大型車輪のタイヤ車体よりも揺れが小さい。
連続した砲撃の際にも、揺れが小さければ命中率が上がる。
口径の大きい戦車砲を載せる砲台として、
キャタピラ車体の砲が適しているのですね。
ちなみに余談ですが……、
この口径とかmmとか正直よくわからなかったので調べると、
mm単位の表記は主にヨーロッパの表記方法だそうです。
つまり、ヨーロッパ製の銃は××mmという表記のことが多い。
口径単位の表記は主にアメリカの表記方法。
表記が違うだけで、同じサイズを表しているそうです。
20mm未満のものは「銃」。
20mm以上になると「砲」。
なお、20mm以上になると、
直撃しなくても弾道が近くを通っただけで…重症のようです。
おそろしい威力ですね……。
キャタピラーのデメリット
メリットがあればデメリットがある。
ということで、
デメリットも見てゆくことでキャタピラーの全貌をつかめると思います。
◆高速走行できない◆
キャタピラーは、
複数の車輪を回転させて動くため、
履帯がたわんで外れる可能性があり、高速走行には不向き。
めちゃめちゃ重い戦車砲を積んでいるわけだし、
キャタピラだけでものすごい重量があるわけですしね。
(Wikipedia項目:10式戦車より引用)
とはいえ10式戦車などを動画で見てみると、
ものすごく速く走行しているように見えますが…。
最新の10式戦車で時速70kmくらい。
1941年採用のシャーマン戦車は、
時速38.6 km(整地)
時速19.3 km(不整地)
と、かなり遅いことがうかがえますね。
あのミカヅキモみたいなマークⅠ戦車に限っては
時速5.95kmと、かなり絶望的ですね…。
進化しているとはいえ、
タイヤ車体のようなスピードはでないということです。
キャタピラー式の戦車は、
遅いが悪路を進める上に大きな戦車砲を積める。
タイヤ式の戦車は、
戦車砲は小さく、悪路は進めないが、スピードが速い。
これらの特性を使いわけるというわけですね。
◆履帯が外れると動けなくなる◆
キャタピラーは、
もちろん履帯がはずれると動けなくなるわけです。
修復することは可能ですが、
戦火が絶えない中、戦車外に出てゆっくり直しているヒマはない。
(出典 : Wikipedia M4中戦車より引用)
切れてしまった履帯にワイヤーを引っ掛けて引きずり出し、
破損箇所を交換した後、
もういちどワイヤーを引っ掛けて、引っ張って乗せる。
そして重い。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツにより運用された重戦車、
ティーガー戦車の履帯の重さは、1コマあたり30kg、片側96枚、約3トンもあったそうです。
これを修理するのがいかに難しいか、想像できますね。
実際に、
キャタピラー部分を砲撃して走行不能となった車両によじ登り、
砲台のハッチを開けて手榴弾を投げ込むなど、
キャタピラーの弱点を突いた戦いも行われているそうです。
5. 次回予告
次回シャーマン戦車、
カタチの全貌がみえてきますよ!
兵士の塗装やウェザリングなど、楽しみがまだまだ続きます!
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店には、
気兼ねなくエアブラシを使える塗装室や、
使い勝手のいいアトリエゾーンが完備されています。
専門的な工具セットのレンタルもありますし、ワークデスクで誰にも邪魔されず、
ショップゾーンで好みのキットを選んですぐに制作に取りかかれます。
さらに長谷川伸二マスターが、
さまざまな講座を開催されていますので…→各種講座
「プラモデル、やりたい…」
「戦車の話で盛り上がりたい…」
「プラモデル友達が欲しい…」
そんなあなたは、
ぜひタミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店に足をはこんでみてはいかがでしょうか?
それではまた次回まで、乞うご期待です!
ライター : 石井七歩
1991年 東京生まれ。現代美術家。
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石井七歩
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