【車体塗装〜ウェザリング編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(4)

目次
1.車体塗装、決め手は「サビ感を残す」こと!
2.戦車を彩る小道具
3.星の輝くポップなデザイン!
4.ウェザリング「傷の想像」
こんにちは!
プラモデル初心者がプロモデラーに教わりながら、
本格的なプラモデル製作に挑戦する企画!
挑戦者の石井七歩が、タミヤプラモデルファクトリートレッサ横浜店からお送りいたします!
今回もプロモデラーの
長谷川マスターこと、長谷川伸二さんにご指導いただきます!
長谷川伸二マスターは、
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店内にあるアトリエゾーンにて、
さまざまな講座を開催されています。→各種講座
プラモデル製作に行き詰っているそこのアナタは、
タミヤプラモデルファクトリートレッサ横浜店のアトリエゾーンで、
どんどん長谷川マスターに相談しましょう!
さて、
基礎知識編では戦車誕生のエピソードについて触れましたが……、
→【基礎知識編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!
読んでいない方のために、戦車誕生のエピソードを超要約して復習しましょう!
【ざっと復習】
第一次世界大戦の西部戦線では、
地面に掘った深い穴に潜んで攻撃しあう「塹壕戦」が繰り広げられた。
穴から出たら銃撃されてしまうので、両軍の兵士たちは塹壕から動けず、
戦場は変化の乏しい持久戦の癒着状態になってしまった。
そもそもどうして癒着状態になったのかというと、
銃が進化し、兵士たちが銃を標準装備したことにより、
馬に乗った「騎兵」が無力となり、前線を突破できる「機動力」が失われたから。
……ということで、
この機動力を取り戻すために誕生したのが「戦車」なのである!
(出典 : Wikipedia マークⅠ戦車より引用)
戦車は第一次世界大戦で誕生。
イギリス軍が開発した「マークⅠ」ですね。
このマークⅠは戦果こそ残せませんでしたが、
マークⅠが軍事に与えた衝撃は大きく、各国が競って戦車を開発してゆき、
あらゆる戦車が誕生することになります。
今回製作するシャーマン戦車は「M4中戦車」といって、
第二次世界大戦で広く活躍した戦車ですね。
詳しくはこちらの記事 【基礎知識編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ! でまとめていますよ!
さて、
前回は 【ミニチュア兵士編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(3) ということで、
兵士を組み立て、サーフェイサーを吹き、シャーマン戦車本体のサーフェイサー吹きまでを完了させました。
「オキサイドレッド」というカラーのサーフェイサーですね!
兵士はこんな感じで、
ダンボールを横にして並べた台に、竹串で刺して保管してあります。
さすが長谷川マスター…。経験がもたらす知恵ですね。
それではさっそく作業にとりかかりましょう!
1.車体塗装、決め手は「サビ感」を残すこと!
前回、
実際の戦車の下地として使われている「サビ止め」の色を再現した、
えも言えぬ綺麗な赤茶色のサーフェイサーを吹きました。
「オキサイドレッド」です。
オキサイドレッドのサーフェイサーの上に、
今度はシャーマン戦車の色である「オリーブドラブ」を塗装してゆきます。
はじめて聞く名前の色だ……。
そうそう、
長谷川マスターはエアブラシ用に塗料を希釈する際、
100円ショップの容器に薄め液を入れて愛用されてますよ。
こういうの。
さて。
今までどおり対象から15cm~20cm離して、
エアブラシで塗装していきます。
すこしずつ、しゅっしゅっしゅっと吹きつけるイメージで。
エアブラシの扱い方に関しては、
こちらの記事「【はじめての塗装編】初心者だけどプラモデルづくりに挑戦するよ!ーその3」に詳しく書いています!
マスクをして、説明書をチェック。
さっそく塗装開始です!
様々な方向から、
すこーーーーしずつ、オリーブドラブを吹き付けていきます。
一気に塗ってしまおうとすると吹きすぎてムラになったり、
厚塗りすぎてせっかくのディテールが消えてしまったりするので、
何度かにわけて色づきを完成させてゆきます。
砲台の塗装、1回目の状態!
乾いたらまた2回目を塗っていきます。
次はシャーマン戦車の上側を塗装してゆきます!
上側も、1回目はこれで終わり。
すこしずつ塗ってゆくのがとても大切!
焦らず、何回かに分けましょう。
次はシャーマン戦車、車体下部。
塗装1回目はこんなかんじ!
オキサイドレッドが透けて見えます。
これからさらにオリーブドラブの重厚感を見せていくために、
うすくうすく、重ね塗りしてゆきます。
あせらず、何回も重ねていきます。
再三書きますが、少しずつ、少しずつ、
すこーーしずつ吹き重ねるのが重要なポイント!
転輪の部分はかなり吹き付けにくいです。
持つ角度を変えて塗装してゆきます。
転輪を塗装するために、
様々な持ち方を試して四苦八苦しました…。
どうでしょう!!
試行錯誤の甲斐あって、
転輪部分もけっこう綺麗に塗装できたと思います。
全体ではこんな感じ!
どうでしょう!
オキサイドレットの下地のおかげで、
ほんのりと「サビている感じ」が残ることによって、
金属感が演出されています!
オリーブドラブに暖色の雰囲気が足されて、いい味が出ていますね。
かっこいい!!!
ぐっと戦車っぽくなりました!!!
2.戦車を彩る小道具
それからですね、
実際に運用される戦車は、色々な小道具が積まれているので、
そういった小道具もついでに塗装してしまいましょう!
パッケージイラストのシャーマン戦車にも、
車体後部にはドラム缶らしきものが…、
車体前部には車輪のようなものが積まれていますね!
弾薬を入れる箱や、予備の履帯、
兵士のヘルメットなど…。
ちいさくてかわいいです。
たとえば、このちいさな箱は弾薬箱なのですが、
シャーマン戦車の戦車砲の弾薬箱と、
ティーガー戦車の戦車砲の弾薬箱では、箱のデザインも違います。
これはシャーマン戦車のための弾薬箱なのです!
細かいところまで、実物を模しているのには感激しますね…..。
さて。
こんな小さい部品、塗装しにくいだろうなぁと思っていたところ、
長谷川マスターがこんな工夫を教えてくださいました。
スチレンボードに輪っか状にしたテープを貼って、
ぺたぺたと小道具を貼り付けていきます。
じゃじゃーん。
これで一気に塗装することができますね。
シャーマン戦車本体の際と同じく、
オキサイドレッドのサーフェイサーを吹き付けてから塗装してゆきます。
キャタピラも塗装しましょう。
キャタピラを竹串で固定して、
逆ピンセットで持ち手をつくります。
よくできていますね…。
長谷川マスターからは、ありとあらゆる工夫が出てきます。
さすがプロだなあ。
最初はプラスチックっぽいブラック。
オキサイドレッドのサビ感を吹き付けて……、
その上からちょっとメタリックなブラックを塗装!
おお……、
鉄の重厚感のある色味になりました。
小道具の積荷の登場は、
まだまだ先になりそうです。
3.星の輝くポップなデザイン!
それではつぎに、
デカールシールを貼っていきますよ!
デカールは、ウェザリングで汚れた雰囲気を出す作業の前に貼ります。
なぜかというと、
車体が汚れているのに、マークが汚れていないのはおかしいから!
必要なデカールを、どんどん貼っていきましょう……とその前に!
シャーマン戦車は、
もちろん時期や場所によってマークの塗装が変わってくるので、
どんな塗装を施すかを事前に決めましょう。
説明書には3種類の塗装パターンが載っています。
どの塗装にするかで、どこの戦線で戦ったシャーマンなのかが決まるので、
ジオラマなどの雰囲気を左右する大事な決断です……!
私はですね、
ブラッドピッド主演の戦車映画「フューリー」を鑑賞したばかりだったので、
映画フューリーと同じ、ヨーロッパ戦線のシャーマン戦車の塗装を選びました!
この映画はですね、
長谷川マスターにオススメしていただいて観たのですが、
とにかくシャーマン戦車と戦車長のブラッドピッドがカッコよすぎる映画です。
世界で唯一、現役で動くティーガー戦車が登場するのも見どころですね!
彼ら戦車乗りが着ている「タンカージャケット」
これがカッコよくて、思わず上野のアメ横まで買いに行ってしまいました!
それではさっそく、
説明書の指示するデカールを切り抜き、貼っていきます!
必要なデカールを切り抜いたら、
水に30秒くらいつけて、外に出して置いておきます。
水につけっぱなしでデカールが浮いてくるまで待つ!
という方もいらっしゃるようですが、
糊の成分までもが流れて溶けてしまうそうなので、
長谷川マスター的にはあまりおすすめしていないそうです。
デカールの位置を固定したときに、
水分をふき取るための綿棒を用意しておきましょう!
それからこちらは、
デカールと戦車本体をよりちゃんと接着させるための糊です。
デカールを貼る大体の位置を決めたら、ちょみっとこの接着剤をつけて…、
デカールを置きます。
この状態だと水分によってぬるぬると動いてしまうので、
水分を拭き取って固定しましょう!
完璧!
この調子でどんどん貼っていきます。
デカールが大きいのでかなり貼りやすいです。
飛行機や戦闘機のプラモデルは、
めちゃくちゃ小さなデカールがいーっぱいあるので、大変だそうですよ。
小さいデカールもお忘れなく!
できました!!
アメリカを主張する大きな星型がかわいいです。
ポップでシンプルな「50」のタイポグラフィもかわいい…。
デカールまで、完成!
4.ウェザリング「傷の想像」
さて。
やはり戦車模型をつくるのであれば「ヨゴレ感」に憧れますよね!
がたがたゴトゴト、
鉄のキャタピラを軋ませて、道無き道をつき進む。
さまざまな障害にぶつかるでしょう。
避けれぬ衝突も多いでしょう。
そんな、ガンガンぶつかって傷ついた戦車を、どうにか模型で再現したい!!
…ということで、
まず用意するのはタミヤカラーの「ミディアムグレイ」
そして、
先っちょをバッサリ切り落とされた平筆!!!
このガサガサ加減が使いやすいのです。
それではさっそく、
筆を使って「ぶつかってできた傷」を描いていきましょう!
エッジの部分を際立たせると、
金属感が出てきます。
デカールの上から汚したり…。
排気口も際立たせると面白いです。
さて、
これらのウェザリングのコツは、
絶対に塗料をつけすぎないこと!!
ちょんちょんと筆に塗料をつけたら…、
これでもかというほど、
ティッシュでオフします。
べったりつきすぎると「傷感」が無くなってしまうので、
ほんのすこしだけ筆に塗料がついている状態がベストなのです。
砲台のエッジも汚していきます。
戦車に乗り降りする際に踏みつけるので、
実際に塗料がはがれやすい部分だそうですよ。
転輪のエッジも。
この作業、かなり楽しいです!
どこがどんな風にぶつかって削れるのか、
想像しながらウェザリングしていくので、
色々と妄想が広がりますね!
できました!!!
かっこいい!!!
小道具をどんな風に積むか、妄想がはかどります。
ということで、
シャーマン戦車に傷を負わせるところまで、完了しました!
5. 次回予告
さて、
これからまだまだウェザリングを施して、
さらにジオラマも製作したいと思っています!
いつもどおりカッコいい長谷川マスターと、
上野のアメ横で入手した、アメリカ陸軍のタンカージャケットを着る私!
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店には、
気兼ねなくエアブラシを使える塗装室や、
使い勝手のいいアトリエゾーンが完備されています。
専門的な工具セットのレンタルもありますし、ワークデスクで誰にも邪魔されず、
ショップゾーンで好みのキットを選んですぐに制作に取りかかれます。
さらに長谷川伸二マスターが、
さまざまな講座を開催されていますので…→各種講座
プラモデルにご興味をお持ちの方は、
ぜひタミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店に足をはこんでみてはいかがでしょうか?
それではまた次回まで、乞うご期待です!
【基礎知識編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!
【キャタピラー編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!
【ミニチュア兵士編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!
ライター : 石井七歩
1991年 東京生まれ。現代美術家。
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石井七歩
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