【ジオラマ完成、そして完結編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(6)
目次
1.スチレンボードで土台づくり
2.地面の演出を考える
3.エポキシ樹脂で池をつくる!
4.ロケーションをリアルに演出!
5.ジオラマの土台を着色しよう
6.ついに完成です!
7.画像加工で遊ぶ!
プラモデル初心者がプロモデラーに教わりながら、
本格的なプラモデル製作に挑戦する企画。
今回もタミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店からお送りいたします!
いつもご指導してくださるのは、
プロモデラーの長谷川マスターこと、長谷川伸二さん!
長谷川伸二マスターは、
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店内にあるアトリエゾーンにて、
さまざまな講座を開催されています。→各種講座
プラモデル製作に行き詰っているそこのアナタは、
タミヤプラモデルファクトリートレッサ横浜店のアトリエゾーンで、
どんどん長谷川マスターに相談しましょう!
さて、
今回はいよいよ、シャーマン戦車の最終回です!
戦車の知識ゼロの段階から、よくぞここまで来ました!
第一回が2月なので、3ヶ月ほど経過していますね…。
読者の皆様、ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!
【基礎知識編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(1)
【キャタピラー編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(2)
【ミニチュア兵士組み立て編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(3)
【車体塗装〜ウェザリング編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(4)
【初めてのミニチュア兵士塗装編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(5)
シャーマン戦車の製作にとりかかるまで、
私には戦車が全部同じカタチに見えていて、戦車と装甲車の区別もつかなかったのですが、
シャーマン戦車を製作したこの3ヶ月で、ミリタリー映画に登場する戦車が「シャーマン」か「ティーガー」か「エイブラムス」かを見分けられるまでに成長しました!
まだ3種類しか見分けられないので、
今後10種類くらいはわかるようになりたいですねえ。
それではシャーマン最終回、
たっぷりの写真でお送りするので、初心者の方はご参考くださいませ!
前回は、
ミニチュア兵士の塗装を完成させました。
【初めてのミニチュア兵士塗装編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(5)
今回は、
ついに、ついに、ジオラマを完成させます!!!
1.スチレンボードで土台づくり
ジオラマの土台を製作するために、
ホームセンターなどで販売されているスチレンボードをつかいます。
これはジオラマ製作に欠かせない便利アイテムなので、
いつでも装備しておくべし!だそうです。
木製の土台の大きさのアタリをつけてゆきます。
私が不器用ゆえにカッターをうまく使えずにいたら、
長谷川マスターが代行してくださりました!動きが速い!
木製の土台に載るように、
ひとまわり小さめにくり抜きましょう。
こんな感じ!
高低差や陸と水など、
地形に個性があったほうが面白いので、
今回は一部を池にしてみます!
斜線部分が池部分になる予定。
横から刃をいれて、
池になる部分を一段低くします。
ざっくりで大丈夫。
低く切りすぎた部分などは、スチレンボードを継ぎ足せば問題ないです。
ふつうの木工用ボンドで定着させてゆきましょう。
高くなる部分も考えながら……。
今回は、
運転を誤って池に落ちてしまったシャーマン戦車…、
そんな、緊張感漂うテーマにしてみようと思います!
兵士の配置はこんな感じかな?
池のぬかるみにはまって動けなくなったシャーマン戦車。
焦って周囲を警戒する兵士たち。
長谷川マスター曰く、
想像と現実には誤差があるので、
実際に配置して完成図を決めてゆくこと、だそうです。
盛り上げの部分。
ちょっとした勾配によって、うっかり池に落ちてしまったイメージ。
実際に配置しながら考えます。
できました!
この状態ではかなりわかりにくいですが、
高いところと低いところのある地形をつくりました。
これを活かしたジオラマをつくってゆきたいところですが……。
2.地面の演出を考える
さて、
地形も決まったところで、
こちらの情景テクスチャーペイント「土 ダークアース」を塗ってゆきます。
瓶に入っているのは、
どろどろとした、海苔の佃煮のような感触の何か…。
乾燥するとどのようなテクスチャーになるのか楽しみです。
手頃なプラスチック板を切り、ヘラとして使用します。
土のテクスチャーを塗りのばせるものでしたら何でもよいです。
まずはざっくり乗せて、
ガンガン塗りのばしてゆきます。
せっかくなので、
土の凹凸を出すためにも、たっぷり使いましょう!
全体に塗りのばしたら、
今度は歯ブラシで軽く叩いてエンボスをつけてゆきます。
そういえばこの手法は、
スイーツデコレーションでリアルなロールケーキを製作した際にも登場しました!
表面のリアル感をつくり込むために、歯ブラシは必須アイテムですね。
→【写真で解説】リアルより可愛いロールケーキ!【スイーツデコレーション】
陸上のテクスチャーができたので、
今度は水中のテクスチャーをつくります。
鉄道模型用に販売されている小石を、
池の底になる部分に撒いてゆきます。
これは鉄道模型において、
レールの下に敷かれている石(バラスト)を再現するグッズだそうです。
水中に配置する石なども、
スチレンボードを手でちぎってつくることができます。
さて、
大地のど真ん中に突然戦車が現れるのはおかしいので、
戦車が通ってきた痕跡を残しましょう!
土のテクスチャーが乾ききる前に、履帯の跡を押し付けて残します。
若干、ほんのり、跡が残っていますね…。
どんな動き方をして現在の位置に至ったのか、
想像するのが楽しいです。
さて、
土のテクスチャーを乾燥させているあいだ、
シャーマン戦車の小物類を完成させてしまいましょう!
付属の小物はかなりたくさんあるので、
色々な資料を基にしながら、時には現実的に、時には空想にまかせて、
シャーマンに小物を貼り付けて行きます。
土がだいたい乾いたら、
水底の部分を塗装してゆきましょう。
池底には藻が生えて、緑色がかって見えるでしょう…。
あの池の緑色のイメージをつくってゆきます。
今回塗装した色は、
カーキドラブと、部分部分にジャーマングレイです。
もちろん池の色に決まった色は無いわけですから、
皆様はご自分のお好きな色を塗装してくださいね。
全体図は、こんな感じ!
池ぽちゃの衝撃で、
荷物が傾いた想定をしてみました。
岩にぶつかって止まったシャーマン。
ドラム缶が落ちてしまった設定…。
木箱が落ちてたりしてもいいかなあ。
リュックは、コマンダーが取りやすいようにハッチから近い位置、
砲塔まわりに備え付けてみました。
無造作なジェリ缶など。
なぜか笑ってる操縦士。
ヘルメットを前方のフックにひっかけてみたり。
荷物の乱雑さが気に入っています!
それでは、この位置で最終決定にしましょう!
岩の位置を確認しながら決定したら、
木工用ボンドで接着してゆきます。
ドラム缶も同じく。
今のうちに岩をグレーに着色しておきます。
できました!
それではいよいよ水の表現に挑戦していきましょう!
3.エポキシ樹脂で池をつくる!
さて、
今回は透明な「エポキシ樹脂」で水の表現をします。
エポキシ樹脂は、時間が経つと硬化する樹脂で、
ジオラマ製作における水表現のための定番です。
樹脂を流し込むことになるので、
まずは長細く切った手頃なプラ板などで型をつくりましょう。
しっかり固定しておかないと、
樹脂が柔らかいうちに外れてしまったら大変!!
こんなもので良いでしょう!
こちらが今回使用する、
タミヤ 透明エポキシ樹脂(150g)
液剤がAとBの2つあります。
Aの主剤とBの硬化剤を混ぜることで、科学反応により硬化がはじまる仕組みですね。
A:B=2:1の比率で混ぜたいので、
計量するため、
秤に乗せたままA剤を絞り出してゆきます…。
まず、Aの主剤は20g。
そしてBの硬化剤は10g。
それらを同じ容器に移して……、
かなりしっかりムラなく混ぜましょう!
しっかり混ぜるのが重要なポイントです!
絶対ハズレないように、
マスキングテープで補強しまくった型がこちらです。
それではゆっくりとエポキシ樹脂を流し込んでゆきましょう。
はじっこまで丁寧に。
こんな感じに仕上がりました!
エポキシ樹脂の硬化がはじまる前に、
気になる気泡は串で潰しておきましょう。
池に沈むキャタピラも一緒に硬化させたいので、
シャーマン戦車も配置。
こんな感じで!
池のおかげでぐっとリアリティが増していますね!
物語を感じるジオラマになるのではないでしょうか。
4.ロケーションをリアルに演出!
さあ、
エポキシ樹脂も流し込んだところで、
兵士たちの位置も決めてゆきましょう。
足の裏に針金を刺しておくことで、
自立する仕組みをつくります。
ぐさっと刺してます。
兵士の一人は、池の中に入ってゆく場面。
こちらは草のシールです!
これ、かわいいですよ。お気に入りです。
ピンセットでひとふさずつ剥がして貼れるようになっています。
苔みたいでかわいい。
水辺には草が生い茂るものなので、
水辺の部分に貼ってゆきます。
草を配置したら、竹串などでぎゅっと押さえてくっつけます。
まだらに貼ってゆくのが、リアルに見せるためのポイントです。
さて、
次は樹木ですよ!
こちらも鉄道模型用の幹だそうです。
プラスチックそのままだと色が均一すぎるので、
明暗の雰囲気を調整しながら筆で着色。
葉を固定しやすいように、
あらゆる方向に枝を曲げておきます。
こちらも鉄道模型用のグッズですが、
海綿を緑色に着色したものだそうです。
生い茂る葉の表現に使います。
適当にちぎって……、
瞬間接着剤で固定してゆきましょう。
どうでしょうか。
パセリみたい!
この樹木は、
機関銃を持った兵士の身を隠すように配置してみました。
さて、完成も近いので、
シャーマン戦車本体の、細かい部分の塗装の最終チェックです!
塗り忘れがないか確認しつつ仕上げてゆきましょう!
私の場合、まだ塗り残していたフタの裏や小物などを塗ってゆきます。
とりあえず、完成です!
あとはエポキシ樹脂の硬化を待ちましょう。
この、土汚れのついたキャタピラーはお気に入りです。
身を隠しつつ狙いを定める機関銃士。
弾薬の入った木箱。リュック。
前方の、
泥が跳ねまくったような汚れ具合もお気に入り。
ジオラマは、自分でも気付かぬ間に偶然のかっこいいアングルが出来ているのが楽しいです。
5.ジオラマの土台を着色しよう
さて、
時は流れ、池は無事に硬化しました…。
濁った良い色をしています。
それではいよいよ最終作業に入りましょう!
これはジオラマを演出する、木製の土台です。
軽くやすりがけで表面を整えます。
何色にしても良いのですが、
今回は落ち着いた演出をしたいので、フラットブラウンを選びました。
いつもどおり、エアブラシで吹き付けてゆきます。
真ん中は隠れてしまうので塗らなくて大丈夫です。
ここでニスを塗りたいところなのですが、
ニスを塗ると乾くのに時間がかかりすぎてしまうので、
今回はタミヤカラーのクリヤーオレンジを塗布します。
クリヤーオレンジを塗ることで、
オレンジの深味と、クリヤーの光沢感を出すことができるそうです。
この方法なら、ニスが無くても光沢をつくれます。
良い色に仕上がりました!
焼きたてパンみたいです!
6.ついに完成です!
ジオラマを固定するとひっくり返さなくなるので、
今のうちにサインを入れておきましょう。
木工用ボンドで固定します。
できました、完成です!!
いろいろな角度から見てみましょう。
無造作な積荷がアクセントになって、良い味だしてます。
やはりシャーマン、かっこいいですねえ。
無骨な金属感が渋いです。
土のついた履帯、かっこいいです。
いかがでしたでしょうか!
今回、はじめての戦車模型、
はじめてのジオラマに挑戦してみた感想をひとことでまとめると
「映画監督の気分を堪能できる」ですね!
自分のつくったシャーマン戦車を、自分の好きなシチュエーションでジオラマ化する行為は、さながら映画のシーンのような戦況を自分の手で創作できる面白さがあります。
途中までは「シャーマン戦車の模型」だったものが、
ジオラマを製作しはじめてからは「私のシャーマン戦車」という認識になりました。プラモデルを単体で作るより、
ジオラマを製作することで、その戦車に対する個人的な情が湧いてくるのを感じました。
さて、
それでは最後に今回のジオラマを撮影して終わりたいと思います!
7.画像加工で遊ぶ!
ジオラマの背景に、写真を印刷したパネルを立てて撮影しました。
1枚目は無加工の画像、
2枚目は加工を施した画像です。
夕日をくわえる
まずは定番として、夕日を付け足してみました。
もうすぐ夜になるというときに戦車が池にはまって動けなくなり焦る兵士達…。
時間軸が加わることで物語の想像が広がりますね。
機関銃の弾道を付け足す
夕日を付け足して、
さらに機関銃の弾道を描いてみました。
ちょっと偽物っぽすぎるかな…。
昔のモノクロ記録写真風
どうすればリアルに見えるかな、ということで、
第二次世界大戦当時の写真風に、粒子の粗いモノクロ写真にしてみました。
これはある意味ものすごく本物っぽく見えますね…。
昔の戦争映画のDVDパッケージ裏の画像風
彩度の高いカラーのまま、
ザラザラの質感を出してみました。
古い映画っぽいかなと思うのですが、わかりにくいですねw
プラモデルの箱のイラスト風
プラモデルの箱に描いてあるイラスト風にしてみました。
私はこれ、けっこうお気に入りです。
…ということで、
偉大なる凡作、シャーマン戦車製作編、
これにて完結です!
ゼロ戦製作編に比べて、クオリティの高い作品を製作することができました。
次回ももっともっとクオリティを上げてゆきたい所存です!
長谷川マスター、手取り足取り教えてくださってありがとうございました!!
タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店には、
気兼ねなくエアブラシを使える塗装室や、
使い勝手のいいアトリエゾーンが完備されています。
専門的な工具セットのレンタルもありますし、ワークデスクで誰にも邪魔されず、
ショップゾーンで好みのキットを選んですぐに制作に取りかかれます。
さらに長谷川伸二マスターが、
さまざまな講座を開催されていますので…→各種講座
プラモデルにご興味をお持ちの方は、
ぜひタミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店に足をはこんでみてはいかがでしょうか?
それではまた次回まで、乞うご期待です!
【基礎知識編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(1)
【キャタピラー編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(2)
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【車体塗装〜ウェザリング編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(4)【初めてのミニチュア兵士塗装編】偉大なる凡作、シャーマン戦車をつくるよ!(5)
ライター : 石井七歩
1991年 東京生まれ。現代美術家。
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石井七歩
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