2018年12月6日

重ね塗りのセオリー 各色の特徴を活かすプラモデル塗装のコツ

  みなさんこんにちわ☆

今回はプラモデルの塗装に関してよく聞かれること、

「どの色をどの順番に塗ればいいのか?」

ということに関してお話ししたいと思います。

結論からいうとそれは「ケースバイケース」なのですが、それはおいておいて、まずはセオリーからお話していきますね。

1.色には「強さ」がある

色には「隠ぺい力」といって下地を隠す力があります。

これがそれぞれの色によって違ってきます。

隠ぺい力が弱い色を後から塗ると、下の色が透けて色が変わってしまうので、

基本的には隠ぺい力が弱い色から順番に塗っていきます。

主だった色の隠ぺい力はこんなところです。

白=黄<赤<<肌色<オレンジ<青<<<グレー=緑=茶色<銀<黒

←弱い                                 強い→

 

例えば赤と緑を重ねて塗りたいときは、赤を塗ってから緑を塗ります。

白と赤を塗るときは最初に白を塗って、次に赤を塗ります。

上が赤の上に緑を塗ったもの、

下が緑の上に赤を塗ったものです。

どうでしょうか。緑は特に変化がありませんが、赤は緑の上に塗るとだいぶ濁ってしまっています。

順番が違うだけでこれだけ色の差が出てきます。

何度か塗り重ねていけば色も赤に近づいていきますが、塗膜が厚くなってしまうことになるので、

やはり何か理由が無いのであれば弱い順に塗っていくのがベターです。

特殊な銀色

銀色は例外で、隠ぺい力の強さのわりに上から塗った色にもあまり影響を与えません。

例えば赤を白の上に塗った時と銀の上に塗った時はこうなります。

左が白の上に塗ったもの、右が銀の上に塗ったものです。

少し変わっていますが見比べてわかる程度だと思います。

つまり銀色は比較的隠ぺい力での順番を気にしなくてもいい色、と言えます。

また、銀は黒の上に塗ると色味や輝きがハッキリする、という特徴もあります。

 

また、同じ色でもつや消しのものの方が若干隠ぺい力は強くなります。(X-2ホワイトよりXF-2フラットホワイトの方が少し強い)

メタリックが入っていると、これもまた強くなります。レッドよりメタリックレッドの方が隠ぺい力が強いです。

 

隠ぺい力での塗る順番はおわかりいただけたでしょうか。

2.ツヤ消しとツヤあり

ツヤがある状態、ツヤがない状態とありますが、

塗膜がツルツルしていればいるほどツヤがあるように見え、ザラザラしていればいるほどツヤがなく見えます。

ツヤ消しの塗料には「ツヤ消し剤」が入っていて、普通に塗ってもこのツヤ消し剤が表面に出てきてザラザラになるので、ツヤがなく見えるのです。

 

これを踏まえてX-1ブラック、X-18セミグロスブラック、XF-1フラットブラックを重ねて塗る場合はどの順番で塗るかですが、

これはツヤありから順番に塗っていきます。

ツヤありの塗膜はツルツルしているので、上からツヤ消しを塗っても影響はありません。

逆にツヤ消し塗料の上にツヤあり塗料を塗ると下がザラザラしているので塗膜が滑らかにならず、ツヤが出ません。

色の隠ぺい力の強弱とツヤの有無。これが塗る順番の基本になります。

3.塗りやすさ

さて、その2つの要素と同じくらい大事なのが塗りやすさです。

広い部分→狭い部分へと塗っていくのが基本です。

同様に塗る方法としても広範囲→狭い部分へと塗りやすい順に缶スプレー→エアブラシ→筆塗りとなっていきます。

マスキングが簡単かどうかも大事です。

マスキングが、不要→簡単→複雑なマスキングが必要な部分、と順に塗り進めていくと楽に塗れます。 

塗りやすさをとるか、色の強弱をとるかで塗る順番が前後する場合も多々あります。

とりあえずまず最初に全体を何色で塗るかを決めて、次を考えていくのがやりやすいでしょう。

 

説明書から順番を考えてみる

例1:戦車の迷彩塗装(1/35 IV号戦車H型初期型)

XF-60ダークイエロー、XF-61ダークグリーン、XF-64レッドブラウンの三色から塗っていきます。

この三色の中ではダークイエローが一番弱い色なので、まず最初にダークイエローから塗ります。その後ダークグリーンとレッドブラウンを塗ります。色の強弱からするとどちらから塗ってもいいのですが、迷彩のパターンをよく見るとレッドブラウン→ダークグリーンの順番で塗られているようなのでそのように塗るのがいいでしょう。

その後にスコップや転輪のゴムを塗っていきます。

 

例2:カーモデルのインテリア(1/24 マツダロードスター)

これは半ツヤ(X-18)を全体に塗って、ツヤ消し(XF-1)を塗らないところをマスキングして、→ツヤ消し(XF-1)の順番に塗ります。

別パーツ(E22、E8)はそれぞれ塗ってから接着した方が楽です。

 

例3:戦闘機のコックピット(1/48 三式戦闘機 飛燕)

XF-59デザートイエローを塗るパーツが多いのでまずそれを全体にエアブラシで吹きます。

AS-12シルバーメタルとどっちを先に塗るかですが、どっちを先に塗ってもマスキングの手間は同じくらいだと思いますのでこれはお好みでいいとおもいます。

XF-7フラットレッドは弱い色ですが小さい部分ですし、ここをマスキングしたりするのは手間なので後から筆で少し厚めに塗るのがいいでしょう。

 

例4:カーモデルのシャーシ(1/24 マツダRX-7)

どうでしょう・・・ここまで複雑に入り組んでいるともはや塗りやすさは考えずに素直に弱い色から塗ってマスキングをいった方がよさそうです。諦めも肝心・・・な部分も多いものです。

 

以上、色を塗る順番でした。

セオリーと経験を組み合わせて、手順を考え、そして狙い通りきれいに仕上がった時の楽しさ。。。

色んなプラモデルを作って感じてみてください☆

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本間店長

タミヤプラモデルファクトリー トレッサ横浜店の店長の本間です。 お店にいつもいますので、プラモデル作りで分からないことがあれば気軽にご相談ください^^。 タミヤモデラーズギャラリー「ろうがんず賞」情景部門受賞。猫好き(自宅では2匹飼っています。名前はポコ、ニコ)、日ハムファンです。